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目次 人外(長月 灯火) ・人外(長月 灯火)について いろいろとぶっ飛んでるいろいろと残念な人…というか人外(初期のころのPC的な意味で)。 参加はヒロインメーカー氏がこの会(の前身)を招集した時から…のはず。いつかは忘れた(笑) ・作成キャラ coming soon アリアンロッド ダブルクロス2nd ダブルクロス3rd 上城 美奈(かみしろ みな) 25・女 マッドなサイエンティスト 上城 美奈(かみしろ みな) 25・女 エンドラインver もっとマッドなサイエンティスト ナイトウィザード 2nd Editionアルシャード・ガイア 天羅WAR 天下繚乱 カオスフレア1st ゲヘナAn りゅうたま SW2.0
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029 人外の定義◆BEQBTq4Ltk 紅い魔法少女を撃退した承太郎は適当な木陰に身を寄せた。 戦闘音は少なからず発生しており近くに別の参加者が居れば気付いている可能性がある。 DIOの刺客であるスタンド使いに襲われては分が悪く、ある程度歩いてから身を隠した。 バッグに手を突っ込み紙を取り出すと人名が書かれていた。 参加者名簿であり、自分の名前も確認出来たことから確実だろう。 「ジジィ、花京院、イギー、アヴドゥル。あいつらも居るんだな」 DIOを倒すための仲間が自分と同じように巻き込まれているようだ。 ポルナレフの名前が乗っていないのは気になるが彼のことだ、忘れられている可能性もある。 「おっと、そいつは言い過ぎかもな」 何にせよ名簿の記載内容が正しければ仲間は四人居るということ。 頼もしい、力になってくれる存在が居ることは有難いだろう。 承太郎は木陰から顔を出し辺りに誰もいないことを確認すると歩き出す。 数歩歩いたところで空を見上げる。美しい夜空だ。 「DIO……テメェもいるんだな」 夜風が涼しい。先ほどの魔法少女との戦闘が嘘のようだ。 此処にはDIOが居る、倒すべきあの男が居る。 スタンドのきっかけとなり、母の生命の危険のきっかけとなった男。 ジョースター家の血筋に因縁を持つあの男がこの会場に居る。 正直に言えばDIOとは承太郎にとって関係のない相手である。 母ホリィが関係していなければ別にエジプトに乗り込む必要もないだろう。 祖父であるジョセフ、更に血を遡りジョナサンの代から続く因縁の物語に巻き込まれたのだ。 螺旋のように何重にも引き合っていく血の宿命。 それはDIOが死んでも静寂の底から溢れ共鳴していく。 そして始まってしまった物語は止めることも出来ず自分が終わりを告げるしかないらしい。 面倒だ。やれやれだ。 だが誰かがやらねばならぬ。 ジョースターの血を受け継ぐ承太郎の運命と言えよう。 殺し合いの会場に置いてもそれは変わらず倒すべき相手はDIOだ。 「まったく……世界各地を回ったかと思えば次は拉致と来やがった。面倒だな」 ふと考える。 DIOと広川は繋がっているのだろうか。 外道同士通じ合う可能性もあるだろう。悪の救世主とでも呼べばいいのか。 DIOに忠誠を誓う者もいれば単純に関わっているだけの部外者も存在する。 広川は前者か後者か。しかし疑問が生まれる。 名簿にはDIOの名前も記載されている。つまりアイツも首輪を付けているということ。 主催側の人間ならば名簿に名前を改めて記載する必要もない。 ならばDIOと広川は繋がっていなく敵同士と考えることが出来る。 承太郎とDIOは対等の関係、同じ参加者の可能性だって存在しているのだ。 「……考えても意味が無い、なんであんな奴らのために考え事なんてしなくちゃあならないんだ」 時間の無駄だ。 帽子をかぶり直した承太郎は取り敢えず歩き始める。 黙っていても仕方が無い。仲間が居ることが解ったならば合流のために動くべきだろう。 最もその過程で紅い魔法少女のような危険人物に出会う可能性もあるが撃退すればいいだけの話である。 「こいつぁ……」 承太郎が発見したのは無残にも頭部が半壊している少女の死体だった。 グロテスク……と呼ぶには優しい程の死体が目の前に落ちていた。 桃色の髪をした少女は紅い魔法少女と同じぐらいの容姿に見える。 彼女がどんな人生を歩んできたかは知らないが此処で死ぬ運命では無かったのは確実だ。 広川はランダムで、参加者を適当に集めたのだろうか。 本来、血と硝煙の匂いが関係しない世界から殺し合いに巻き込んだのならば相当な外道だろう。 DIOを倒した序に広川も倒すべきだ、承太郎は決意……当然のように思った。 「……な!?」 少女の遺体を放置せず何処かに埋めようと考えていたが事態は急変する。 承太郎は見たのだ、見てしまった。 「こいつ……頭部が再生している……ッ!?」 半壊している少女の頭部が徐々に血肉を再生している瞬間を。 剥き出しの脳は微かな光に包まれながら皮膚を再生し包み始めている。 肉付けするように頭部は元の形へと向かっているのだ。 「おいおい、俺は巻き戻しを見ているのか?」 目の前の現実を理解出来ない承太郎だが受け入れるしか無いだろう。 スタンドなのか魔法少女なのかは不明だが目の前の少女は死んでいない。 頭部を再生し再び活動しようとしている。 この状況を承太郎は観察することに決めた。 理由は一つ、今後を知るためだ。 彼の勘ではこの少女、槍で襲撃してきた紅い魔法少女と同じ部類。 謎が多い魔法少女の事を聞くために彼は居座ることを決めた。 殺し合いに積極的ならば彼女のように撃退すればいい。 「それでテメェは誰だ?」 背後から近づいて来る人物に気が付かない承太郎ではない。 大方後ろから奇襲を仕掛けて殺すつもりだったのだろうが甘くはない。 振り返り、男を視界に捉えると動けるように体勢を整えた。 「お前ら人間は名をすぐに知りたがる」 「まるでテメェが人間じゃあないって言ってるみたいだが?」 「だとしたらどうする?」 お前ら人間は。まるで自分が人間ではないような言振りである。 スタンド使いのような一般人から逸脱した人物を指すのか。 将又、魔法少女のような人外の能力を手にしている事を指すのか。 不明だが、承太郎は短く言い返した。 「質問をしているのはこっちだぜ? テメェは誰だ」 「……俺は後藤。お前を殺す存在だ――ッ」 その言葉を最後に後藤の腕が人間の物から異形なる存在へ変貌する。 触手のように伸び始め先端は鋭利な刃物状と化していた。 その光景を目撃した承太郎は幽波紋を発動する。 「スタープラチナッ!!」 異形が相手ならば此方も異形なる力で応戦しよう。 現れたスタンドは問答無用で後藤と名乗った怪物に接近しその拳を放つ。 後藤は触手を己の身体に引き寄せこの一撃を防ぐ。 スタープラチナは後退し後藤は触手を再び自由自在に動かし始めた。 「お前も人間じゃあないようだが……何者だ」 「テメェに名乗る名前は……と言いたい所だが名乗られちゃあ仕方無い。 空条承太郎――テメェを殺す男の名前だ」 星屑の戦士は再度接近するとその拳を振るう。 後藤は一部の触手を腕の状態に戻し同じ土俵である肉弾戦でスタンドに応じた。 衝突する拳と拳、両者互いに退かず力は均衡していた。 「オラオラオラオラオラオラオラオラ」 拳が塞がっているならば。 数は一つではない。片方の拳は自由に生きている。 使用していない拳を後藤の腹目掛けて放つがこれも防がれてしまう。 更にもう一発。 拳と拳で相殺される。 更にもう一発。 この一撃も相殺されてしまう。 「オラオラオラオラオラオラオラオラ」 拳のラッシュ。 その応酬を繰り返すスタープラチナと後藤。 承太郎は思う。 後藤とは一体何者だ。 怪物のような姿、スタープラチナに反応する能力は人間じゃあない。 後藤は思う。 この男は一体何者だ。 突然現れた謎の人形のような者、そしてパラサイトに匹敵する力は何者だ。 「オラァッ!!」 「ッッ!!」 そんなことはどうでもいい。 此処で怪物を倒せば正体何て必要のない情報だ。 スタープラチナは懇親の力を込めて拳を振り抜き後藤の身体を上空へ殴り飛ばした。 上空へ吹き飛んだ後藤を確認すると一呼吸置く承太郎。 奴が着地した時に追い打ちを掛ける。 その瞬間を狙おうとスタープラチナを追撃体勢へ移行させた。 「……音が聞こえねえ」 暗闇のため視界が慣れていないこともあるが流石に見失うことはないだろう。 現に戦闘を行っていたのだ、少々殴り飛ばした程度で視界から消えることは考えられない。 警戒しながら後藤の落下地点へ近づく承太郎は異変を目撃することになる。 「これは……奈落か何かか?」 足場は続いていない。 草地が永遠に続いてるいる訳ではなく途中で足が止まってしまう。 足場が存在しないのだ。無とでも呼べばいいのだろうか。 黒いその空間を覗いてみると暗くて見えないが底を感じられない。 この会場が浮遊空間だと表しているが承太郎の脳裏にはイマイチ決定的な情報が入ってこない。 解ることと言えば後藤が奈落へ落下したことだろう。 「テメェの不幸を呪うんだな、後藤」 奈落がどの程度かは不明だ。 だが落下の音が聞こえないということは相当深いのだろう。 既に一分は経過している、落ちれば人外だろうと死は免れないだろう。 帽子を取り汗を拭う承太郎。 後藤と名乗った怪物は強敵と言えただろう。 交戦時間こそ短いものの触手のリーチと身体能力を考えれば不利になるのは自分だ。 短期決戦を仕掛けるつもりだったが嬉しい誤算な結果になった。 「さて」 帽子をかぶり直すと振り返る承太郎。 後藤の戦闘中に彼女が起き上がっている姿を目撃していたのだ。 それは死んでいたと思われたが頭部を再生していた桃色の少女。 「あ、あの……助けてくれて……? ありがとうございます」 一礼する桃色の少女は少なくとも紅い魔法少女と違って好戦的ではないようだ。 承太郎は別にお前のためじゃない、呟くとスタープラチナを引き続き臨戦態勢のままに。 この女、実は凶悪な野郎だった、何てことも有り得るのだから。 「えっと……私のこと、警戒しますよね……信じられないかもしれませんが私は魔法少女なんです」 「――ッ」 己の拳を握る力が無条件で強まる。 魔法少女。 人間を餌にする外道なる存在が再び承太郎の前に現れた。 顔を上げた少女は不安そうな表情を浮かべながら承太郎を伺っていた。 何か反応が欲しいのだろう。 「お前、魔法少女って言ったな?」 「はい。信じなくてもいい、でも私の頭が再生しているところを見ましたよね……?」 「ああ、この目で見た。お前のぶっ壊れた頭が治るところをな」 「……魔法のちょっとした応用になると思います……信じてくれますか?」 信じるも何も目の前で起きた現実は受け入れるしか無いだろう。 スタンドや後藤のような怪物が蔓延る殺し合いの会場で魔法使いが現れても仕方が無いかもしれない。 現に魔法少女と既に接している承太郎が鹿目まどかの言い分を否定するわけもなく。 「信じるも何も認めなくちゃあいけない……魔法少女ってのはなんだ?」 襲ってきた紅い魔法少女とゾンビのように復活した桃色の少女。 戦闘能力は保有しているらしいが気になるのは別の部分だ。 人間を餌にしている事実と再生能力は人間の枠からはみ出している存在だ。 スタンド使いよりも人間離れしているその力は一体何なのか。 ベクトル的には後藤のような怪物に近いその力は何なんだ。 「魔法少女はその名のとおり魔法を使います」 「だろうな」 「キュゥべぇと契約して手に入れた力を――承太郎さん、後ろッ!!」 なんだと――言葉にする前に振り向いた承太郎の視界に飛び込んできたのは鋭利な触手。 見覚えが在る、数分前に戦ったあの男が襲ってきた瞬間と同じ触手だった。 「テメェ……後藤ッ!」 「俺を殺したと思ったか?」 「堕ちたはずじゃあ無かったのか?」 「堕ちる前に壁に触手を刺してよじ登ってきただけだ」 奈落の底に突き落としたはずの後藤が承太郎に襲い掛かっていた。 鋭利な触手は承太郎の左肩に深く突き刺さっているが黙っている承太郎ではない。 溢れ出る鮮血を無視しながら触手をスタープラチナで引き抜き後藤へ投げ返した。 「やってくれるじゃあねえか……いくぜオイ!」 怒りは言葉ではなく行動で示す。 ノーモーションからスタープラチナを急接近させた承太郎は拳を腹へ放つ。 奇襲とも呼べる一撃は後藤の身体へ直撃し彼の身体を捻じ曲げる。 追撃を行おうと左足を踏み込むスタープラチナだが触手が妨害する。 鞭のように連続で襲い掛かる触手を冷静に一つずつ弾き飛ばす。 一つ飛ばしてまた一つ飛ばし返す応酬を繰り広げる。 「気になってはいたがテメェ、スタンドが見えているのか?」 「スタンド……あぁ、その人形みたいな奴か」 触手と拳が火花を散らし大きく互いに後退した後。 承太郎は不可視であるスタンドを見えている後藤に問いを投げた。 本来スタンドはスタンド使いにしか目視出来ない存在である。 しかし魔法少女や後藤はスタンド使いではないのに見えている。 桃色の少女の視線から彼女も見えているのだろう。 これが広川が言っていた制限なのかもしれない。 だどすれば厄介だろう。 後藤のような怪物にスタンドが見えていなければ完封も出来ただろうに。 「どいつもこいつも見えてるってのか……テメェら本当に人間か?」 「俺は人間じゃあないが承太郎、お前も人外と変わらないだろうッ!」 怪物と一緒にするな、心の中で舌打ちを行う承太郎。 言葉を皮切りに再び行われる拳と触手のラッシュ合戦は承太郎にとってジリ貧である。 左肩の負傷が響いている。動きまわって撹乱するにも痛みが足を引っ張るのだ。 単純な手数では複数の触手を操る後藤が上回る。 力勝負では万全なら状態ならまだしも負傷している今の承太郎では分が悪い。 「――ッ!?」 「私も戦います! 承太郎さんは一度休んでください!」 この場で戦闘を行っているのは承太郎と後藤だ。 しかし桃色の少女――鹿目まどかも此処に居る。 魔法で精製した弓矢を用いて承太郎の加勢に回ったのだ。 矢は後藤の顔目掛けて放つが首を捻られ回避されてしまった。 「俺の知らない力を使う……お前たちは本当に人間か?」 スタンドと呼ばれる人形を戦わせる空条承太郎。 何も無い状態から弓矢を作成した桃色の少女。 この力は彼が知ってきた人間誰一人として使ったことがない道の力。 少し前に交戦した電気を流す男の力も見たことがなかった。 光のような光線を放つ銃火器の存在も知らなかった。 殺し合いという時点で未知に溢れているがどうも人間の枠をはみ出しているらしい。 現に自分のような存在に正面から戦う承太郎の存在は異端だ。 彼の方が怪物に見える可能性だってある。 人間とは理解し難い生物だ。 「テメェに言われちゃあ心外だが俺は人間だ。ついでにこれは人間が作った力だ――オラァッ!!」 左腕をポケットに突っ込みながら承太郎は右手でバッグから一つの球体を取り出す。 それをスタープラチナの正面に落ちるように投げ込む。 スタープラチナは正面に来た球体を勢い良く殴り飛ばした。 「それは――ッ!?」 正体は手榴弾。ピンは抜かれていた。 触手の総てを己に引き寄せ防御態勢に入る後藤。 直撃すれば一溜まりもない。 「承太郎ォォオオオオオオ!!」 爆発が起きる前に後藤は叫ぶ。 お前は何なんだ、人間じゃないのか。 未知なる力は後藤にとって邪魔でしかなかった。 闘争においては楽しめたが自分に害を加えるのは別の話になる。 爆風に包まれる前に。 己に傷を与えた人外の名前を後藤は叫んでいた。 「俺達は一旦退くぞ」 「え、ええ……」 「お前と一緒に行動する義理はないが魔法少女の説明を最後までしてもらわなきゃ困るんでな」 承太郎は左肩を抑えながら桃色の少女に移動を促した。 傷を負ったまま後藤と戦うのは分が悪すぎる。 最悪止血程度は行いたいところだ。 どうもこの会場に来てから疲労が激しすぎる、スタンドを使ったからだろうか。 本来では在り得ないが未知に溢れているこの会場なら不思議でもない。 「解りました、其処で一度承太郎さんの傷を私が治します」 「……お前、本当に魔法少女か? 槍を使う紅い女とは違いすぎるぜ」 襲い掛かってきた人殺しと傷を治す魔法少女。 同じ括りで考えるのが申し訳なくなる程かけ離れている。 槍と弓を精製した点から同じ能力を使っている推測が出来る。 スタープラチナの拳を叩き込んでも逃走した耐久力と再生能力も同じ部類なのだろうか。 その言葉を聞いてから桃色の少女の表情は笑顔だった。 「杏子ちゃん!? その魔法少女って佐倉杏子と名乗りませんでしたか!?」 その顔は輝かしい笑顔。 知り合いなのは確定、それも近しい仲だろう。 こんな笑顔を持つ少女と人間を餌にする外道が友達とは信じられない。 「やれやれだぜ……」 魔法少女の事何て聞かなければよかった。 話が確実に面倒になる予感を感じながら承太郎は帽子を深く被った。 【A-2/北/1日目/黎明】 【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:疲労(中)、左肩に裂傷 [装備]:なし [道具]:デイパック、基本支給品、手榴弾×4 [思考・行動] 基本方針:主催者とDIOを倒す。 0:後藤から離れる。 1:桃色の少女から魔法少女の事を聞く。 2:情報収集する。 3:魔法少女を警戒。 【備考】 ※参戦時期はDIOの館突入前。 ※魔法少女は人間を餌の餌にしていると思っています。 ※後藤を怪物だと認識しています。 ※会場が浮かんでいることを知りました。 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:魔力消費(中)、ソウルジェム(穢れ:中) [装備]:見滝原中学の制服 中指に嵌められたソウルジェム(指輪形態) [道具]:なし [思考・行動] 基本方針:ゲームに乗らない。みんなで脱出する。 1:後藤から離れる。 2:承太郎に魔法少女の事を説明し杏子の事を聞く。 【備考】 ※参戦時期は過去編における平行世界からです。(具体的に示すとみんな死ぬしかないじゃない、の部分がアニメでは近いかなと思いますが未確定です) ※魔力の素質は因果により会場にいる魔法少女の中では一番です。素質が一番≠最強です。 ※魔女化の危険は在りますが、適宜穢れを浄化すれば問題ありません。 ※『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』と書かれたハンカチは何処かに落ちています。 たかが手榴弾の一撃で怪物である後藤が死ぬなど有り得るだろうか。 答えは否、断じて否である。 大地に座り込んでいる後藤は考える。 電気を流す男。 巨大な光線を放つ銃。 スタンドと呼ばれた戦う人形。 何も無い空間から弓矢を取り出す少女。 どれも人間離れしている力を持った連中としか遭遇していない。 捕食される立場である人間の真の力、とでも言うべきだろうか。 面白い、ただ食い殺すだけはつまらない。 抵抗する力が強ければ強いほど興が唆る話だ。 「空条承太郎……覚えたぞ」 自分に傷を負わせた人間の名前。 一度奈落に落とされた時は真剣に生命の危険を感じた。 あれ程の猛者が他にいると考えると人間もまだ捨てたモンじゃないと思えてくる。 殺し合い。 強要されようが関係なく、後藤は狩りの対象を求めて歩き出した。 【A-2/南/1日目/黎明】 【後藤@寄生獣 セイの格率】 [状態]:疲労(小)、腹にスタープラチナの拳の跡(ダメージ0)空腹、両腕にパンプキンの光線を受けた跡、手榴弾で焼かれた跡 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品1~3 [思考] 基本:本能に従う。 1:人間を探し捕食する。 2:戦いも楽しむ。 [備考] ※広川死亡以降からの参戦です。 ※首輪や制限などについては後の方にお任せします。 ※異能の能力差に対して興味を持っています。 ※会場が浮かんでいることを知りました。 時系列順で読む Back 偽りの悪評 Next 神の発情 投下順で読む Back 出会いはある時突然に… Next メメント・モリ 006 始まってしまった物語に、奪われたままの時に 鹿目まどか 043 わたしが、心を決める時 010 星と願い 空条承太郎 005 パラサイトの星は流れた 後藤 048 進撃のパラサイト
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関連用語 役職 陣営 用語集へ
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あ行 か行 コロンブス さ行 た行 な行 は行 ピーポ(仮) ま行 や行 ら行 わ行
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関係ないけどゴリラって草食動物らしいで
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リビングメイルと魔剣と大晦日 繋がり ・ 関連 → 正義の味方とオペレーター 魔剣と正義の味方とその愛妻 859 ◆93FwBoL6s.様 アパートもえぎの、203号室。 割り当てられた部屋を見上げ、アパートの全貌を二度三度と確かめてから、織部綾子は荷物を掛けた肩を下ろした。 目の前にあるアパートは木造二階建てで、鉄製の階段は当の昔に塗装が剥げていて赤茶けた錆が所々浮いていた。 壁も屋根も色褪せていて、風雨に曝された年月の長さを物語っている。周囲の家屋は新しいので、尚更古さが目立つ。 少なく見積もっても、築三十年は超えていそうである。昨日まで暮らしていたマンションとは、天と地ほどの差があった。 今すぐにでも3LDKのマンションに戻りたかったが、既に荷物は運び込まれているし、住所も移し替えられた後なのだ。 それに、この引っ越しは地球防衛軍から命じられた任務の一部なのだ。綾子が渋面を作ると、傍らの夫が励ました。 「気を落とすな、綾子!」 がっしと綾子の肩を掴んできた手は分厚く、純白の装甲に包まれていた。 「遅れてきた新婚生活だと思えば良いではないか!」 「…そう?」 綾子は渋面を保ちつつ、彼に向いた。綾子の背後で笑みを見せているのは、地球防衛軍に所属する金属生命体だった。 その名もブライトウィングと言い、防衛部隊の主戦力であり、正義の金属生命体達を統率している優れたリーダーでもある。 敵対する悪の金属生命体デスロニアンを追って五年前に地球を訪れた際に戦闘機のデータを得たので、翼や機首がある。 本来の姿は全長十五メートルの巨大ロボットなのだが、金属細胞を自由自在に伸縮出来るので今は綾子と同等の体格だ。 大きさを変えたところで、彼の戦闘能力は劣らない。敵の作戦で巨大化出来なくなった時も、人間大の大きさで敵を圧倒した。 白銀の顔は間違いなく美形で、翼やブースターの付いた背を支える腰も細く、足もすらりと長く、外装は強度に反して端正だ。 そして、つい半年前に地球の危機を救ったヒーローであり、誰からも慕われる正義の味方だが、名実共に綾子の夫である。 本来、機械生命体と人間は結婚出来ないのだが、ブライトウィングがヒーローの立場を利用して国連を揺さぶったからだ。 惚れられたからと言ってそこまでされるのは、と綾子は思ったが、綾子にも好都合なことが多いと知ってからは受け入れた。 ブライトウィングの士気に関わるから、と政府上層から命じられた綾子は、オペレーターから防衛部隊特別顧問に就任した。 といっても、やることはオペレーター時代とほとんど変わらず、防衛部隊の後方支援で忙しく働いている。はずだったのだが。 「なぁんでこうなるかなぁー…」 綾子はアパートもえぎのを見上げ、首を捻った。 「このアパートで、多次元宇宙を超越する物質と、次元超越を行った際に発生する反物質素粒子の発生が確認されたのだ。危険も多かろう、私が直々に調査することに疑問はない」 「だからって、なんで私も一緒に引っ越すわけ? こんなボロアパートに」 「都合の良いことに、このアパートには人間と人ならざる者が多く同居している。だから、私達もそのような行動を取ればなんら疑われることはなかろう。それに、私一人で住んだところで寂しいではないか」 「それが本音?」 「うむ」 恥ずかしげもなく肯定したブライトウィングに、綾子は目を逸らした。 「単身赴任だと思えばいいじゃない。私のマンションから大して遠くないし、あんたなら一瞬で飛んでこれるはずだし」 「そういう問題ではない。私が任務を終えて帰還する部屋に、綾子がいてくれないと」 「はいはい解った、その辺は後でじっくり聞くとして、今はさっさと部屋に行こう。でないと報告書も上げられない」 綾子はブライトウィングを引っ張り、アパートの階段に向かった。ブライトウィングは不満げだったが、綾子に続いて歩いた。 平日の昼下がりという半端な時間帯であるため、住人達はそれぞれの日常を送っているらしく、アパートは静かなものだった。 件の多次元宇宙超越物質が存在する202号室のドアを注視した後、綾子は今日から自宅となった203号室の前に立った。 ブライトウィングも綾子の背後に立ったが、背中から生えた立派な翼が雨樋に引っ掛かってしまったらしく、腰を曲げていた。 自分はともかく、彼は適応するのは難しそうだ。そう思いつつ、綾子は地球防衛軍長官から渡された鍵を錆びたノブに差した。 世界平和のために、住人達とは上手くやらなければ。 その日の夜、綾子とブライトウィングは挨拶回りに出た。 もちろん、相手はアパートもえぎのの住人達だ。無難なタオルの詰め合わせを夫に抱えさせ、綾子は各階の部屋を回った。 最初に向かったのは、隣室であり調査対象である202号室である。綾子がチャイムを鳴らすと、すぐに返事が返ってきた。 ドアを開けたのは、銀色の女性型全身鎧だった。そして、靴箱の傍の傘立てには、無造作に魔剣が刺さっていた。 「はぁい」 「夜分遅くに失礼します。今日、引っ越してきました、203号室の織部綾子と申します」 「綾子の夫であり、地球防衛軍防衛部隊隊長のブライトウィングだ」 綾子が礼をすると、ブライトウィングは敬礼してからタオルの詰め合わせの箱を渡した。 「まあ、ありがとうございます!」 銀色の女性型全身鎧は丁重に箱を受け取ってから、居間に声を掛けた。 「祐介さん、新しいお隣さんが御挨拶にいらしたわよ」 「今行くよ。どうも初めまして、鎧坂祐介です」 銀色の女性型全身鎧に呼ばれて現れた青年が名乗った後、銀色の女性型全身鎧も名乗った。 「アビゲイルと申します」 「今後ともよろしくお願いいたします」 綾子が再度頭を下げてから目を上げると、祐介はひどく真剣な顔でブライトウィングを注視していた。 「凄い、本物だ…」 「私は存じ上げないけど、祐介さんはブライトウィングさんのことを知っているの?」 アビゲイルが首を傾げると、祐介は頷いた。 「だって地球防衛軍だぞ、ブライトウィング隊長だぞ! 知らないわけがない!」 「それは嬉しいな」 ブライトウィングがにこやかに返すと、祐介は少年のような表情を浮かべた。 「これからも頑張って下さい!」 「その言葉が、私の正義を支える力となる。君こそ、麗しき鋼の彼女を大事にしたまえ」 「はいっ!」 祐介は興奮した様子で、力一杯頷いた。アビゲイルは祐介の反応が理解出来ないらしく、ブライトウィングを眺めていた。 国家も民族も超越した史上最強の防衛組織、地球防衛軍は、日頃からその活躍をオープンにしているので認知度が高い。 ニュースでも頻繁に情報が流され、メタロニアンの戦士達の姿も惜しげもなく曝され、彼らも休日には市街地に降りている。 デスロニアンによる地球規模の危機を阻止するだけでなく、あらゆる緊急事態に対処して地球に住む人間達を守ってきた。 おかげで、今や地球防衛軍は平和の象徴である。そして、見栄えのするロボット型異星人の戦士達の評判も上々だった。 隊長であるブライトウィングは、ヒーローに心酔する子供達だけでなくロボットアニメ世代の大人からも熱烈に好かれている。 だから、祐介のような反応が当たり前であり、表情は見えないがきょとんとしているであろうアビゲイルの反応の方が珍しい。 だが、驚くことでもない。地球防衛軍の諜報部隊による事前調査で、アビゲイルの正体とその素性も全て掴めているからだ。 中世時代に死んだ男装の王女の魂が魔剣の力で癒着した全身鎧で、数ヶ月前の事件で一度記憶が消え、再度目覚めた。 人格こそ出来上がっているが、記憶喪失の影響で現代社会に関する情報を習得しきっていないので別段不自然ではない。 「では、また会おう」 ブライトウィングは気障ったらしく言い残してから、201号室に向かった。綾子は二人にまた礼をしてから、夫に続いた。 202号室のドアは閉められたが、祐介の舞い上がった声が聞こえてくる。正義の戦士に会えたのが余程嬉しかったのだろう。 201号室のドアのチャイムを鳴らすと、今度はトンボの昆虫人間が現れた。彼は綾子とブライトウィングを見、触角を立てた。 部屋の主、鬼塚ヤンマである。彼は挨拶もそこそこに居間に駆け戻ると、部屋着姿の少女を引き摺って玄関に戻ってきた。 「ほれ見ろ茜、凄ぇぞ本物だ! メタロニアンだ!」 「おおー」 ヤンマのテンションの高さとは裏腹に、少女、秋野茜の反応は薄かった。綾子は先程と同じ挨拶をし、夫に箱を渡させた。 茜は丁重に箱を受け取ってから、すっげーマジすっげー、と言い続けるヤンマの首を掴んで強引に頭を下げさせ、礼をした。 「こちらこそ、よろしくお願いします」 「写メっていいっすか! うーわーすっげぇー、やっぱ超カッケー!」 興奮冷めやらぬヤンマが顎を全開にしたので、茜はヤンマの上右足を引っ張った。 「失礼でしょーが! ていうか何やってんの、ヤンマらしくもない! そういうのはしーちゃんの役割でしょ!」 「だって地球防衛軍だぜ地球防衛軍、アースディフェンスフォース、略称EDF! 俺達を守る正義の味方じゃんか!」 ヤンマは茜に引き留められるどころか、逆に茜をひょいっと持ち上げてエメラルドグリーンの複眼を迫らせた。 「お前も見ただろ、二年前のデスロニアンとのオイルでオイルを洗う最終決戦! 全世界同時衛星中継でよ!」 「そりゃ見たけど、私にはただの戦争にしか見えなかったもん」 「戦争なんかじゃねぇよ、侵略者に立ち向かうヒーローだ! 同族でありながら反発し合うデスロニアンとの戦いだ!」 「やっぱり戦争じゃない」 「地球どころか、俺らみてぇなのを全部背負って戦ってくれたんだぞ! 感謝しろ、でもって燃えて燃え滾れー!」 ヤンマは茜に詰め寄るが、茜はブライトウィングを横目に見てから、ヤンマを押しやった。 「守ってくれることには感謝してるし、地球を救ってくれたのは本当に凄いことだと思うけど、私にはそうは見られないよ」 「なんでだよ」 茜の反応の鈍さに若干苛立ったヤンマが顎を軋ませると、茜はヤンマの足を振り解いて玄関に降りた。 「見た目と戦い方が格好良いからって、それだけで済ましちゃうのは悪いじゃない。見た目はロボットだけど異星人さんだし、色んな苦労もあるだろうし、軽々しくはしゃいじゃうわけにはいかないよ。ブライトウィングさんは隊長だけど、ほら、上と下の板挟みの中間管理職じゃない? それに、ここに引っ越してきたってことは、地球防衛軍の財政事情も不況の煽りを受けて…」 もっともらしく語り出した茜に、ヤンマは慌てた。 「お前の方が失礼だ!」 「ま…まあ…楽な仕事ではないな」 ブライトウィングが答えに詰まると、綾子は取り繕った。 「た、確かに不況の影響もちょっとはないわけじゃないけど、地球はちゃんと守っていますから安心して下さいね」 「では、今後ともよろしく頼む。行くぞ、綾子!」 ブライトウィングは二人に敬礼してから、綾子を連れて階段に向かった。綾子は愛想笑いを保ちつつ、二人に一礼した。 201号室から離れても、ヤンマと茜の言い合いは続いていた。こちらは茜が答える分、ヤンマがヒートアップしていった。 地球防衛軍がいかに凄いかを叫ぶヤンマと、その熱の入りようにどんどん冷めていく茜は、話が噛み合わなくなっていった。 後でケンカにならなきゃいいけど、と綾子は若干不安になりながら、一階で唯一部屋が埋まっている103号室に向かった。 103号室のチャイムを鳴らすと、ブラウスとタイトスカート姿の女性が現れた。仕事上がりらしく、化粧も落としていなかった。 103号室の住人、稲田ほづみだ。きつい印象を与える顔立ちだが美人で、身長も高く、綾子よりも均整の取れた体付きだ。 「ああ、道理で上が騒がしいわけだ。お二人は新しく引っ越してこられた方ですよね?」 「ええ、そうです。お騒がせしてしまい、すみません」 綾子は平謝りしつつ、夫と自分の自己紹介と挨拶をしてからタオルの詰め合わせの箱をほづみに渡した。 「いえいえ。ここ、見ての通り壁が薄いですから、騒がしいのには慣れっこですから気にしちゃいません」 ほづみは朗らかな笑顔を浮かべてから、綾子とブライトウィングを見比べた。 「ご夫婦ですか?」 「ええ。結婚したのはしばらく前ですけど」 「羨ましいですね。私にも丁度良さそうなのが一匹いるんですけど、いかんせん歳が離れすぎていて」 苦笑を交えたほづみに、ブライトウィングは綾子の肩を引き寄せた。 「それを言えば、私と綾子の年齢など地球歴に換算しても五百万年も離れているのだ。それに比べれば些細なものさ」 「それを聞いて安心しました。でも、あいつが高校出るまでは我慢した方がいいですね。世間的にも」 それでは失礼します、とほづみは頭を下げてから、ドアを閉めた。綾子も頭を下げ返し、ブライトウィングは敬礼を返していた。 三つの部屋の中で、最もまともな対応だった。事前調査の情報では、稲田ほづみは気が強くてヒステリックな性格だとあった。 調査資料と実際の印象に差があるのは珍しくないし、ほづみの性格は水沢シオカラという少年とのやり取りで算出したものだ。 ヤンマと同じくトンボの昆虫人間であるシオカラと接している時のほづみは、生き生きしているが感情の高ぶりが激しかった。 どうやら、ほづみはシオカラにだけは弱いらしく、他の人間や人外が相手では感情的にならなくてもシオカラには負けてしまう。 考えるに、好きな相手には意地を張りがちな性分なのだろう。厄介ではあるが、それがほづみという女性の魅力に違いない。 挨拶と引っ越しの品を配り終えて203号室に戻った綾子は、居間に入り、データ整理のために支給されたパソコンに向かった。 ブライトウィングもまた、多次元宇宙超越物質、識別名称ストームブリンガーに関する実地調査データの集計を行い始めた。 彼の場合は脳そのものがコンピューターなので思考するだけで良いが、綾子はそうもいかず、黙々とキーボードを叩き続けた。 引っ越し初日の夜は、互いに仕事に追われるだけだった。 アパートもえぎのに引っ越してから、一週間が経過した。 その間、異変は起きなかった。木製の古い壁越しに魔剣ストームブリンガーが存在していても、多次元宇宙は崩壊しなかった。 それどころか、魔剣ストームブリンガーによって命を繋ぎ止めているリビングメイル、アビゲイルからやたらと優しくされてしまった。 アビゲイルは事ある事にお裾分けをしてきて、おかげで料理の腕が今一つな綾子の食卓が華やかになり、食生活も安定した。 ゴミの日や近所のスーパーの品揃えや商店街の特売日なども教えてくれ、引っ越したばかりの街で綾子が困ることもなかった。 だが、決して出過ぎることはなく、隣人としての程良い距離を保っていた。そんなことが続くと、綾子はアビゲイルに心を許していた。 調査対象に深入りするべきではない、と思っていても、ここまで親切にされてしまうと気を許してしまいたくなるのが人情である。 一週間目の夜。ブライトウィングは緊急出動したまま、帰ってこなかった。綾子も出動しようとしたが、長官から止められた。 だが、今日の任務は危険だ。デスロニアンの残党が現れ、地球の衛星軌道上に直径三十キロメートルもの小惑星を出現させた。 ブライトウィングの部下で、ワープ空間を自在に操る能力を持つエスケープの働きによって小惑星の地球への落下は回避された。 しかし、危機は去らず、小惑星ごとワープさせた先ではデスロニアンNO.2の実力を持つデスポートに襲い掛かられ、苦戦した。 デスポートは二年前の戦いで倒したはずだったが、ワープ空間に逃れ、満身創痍の体を癒やして復讐の機会を待ち侘びていた。 今までの戦いでも、卑怯な手を使うデスポートによって何度も苦戦した。負けるわけがない、と思っても、今度ばかりは、とも思う。 地球防衛軍の司令室に直結しているので、居間のパソコンにオンラインで情報が届いているが、戦況は悪化する一方だった。 なんとかしてやりたいが、綾子には何も出来ない。オペレートすら出来ないので、綾子はパソコンの画面と睨み合うしかなかった。 モニターにずらずらと並ぶ情報の羅列を見ていると恐怖と不安しか湧いてこないので、六畳間の寝室に入って、布団を被った。 「ブリィ…」 夫の愛称を呟いた綾子は、枕に顔を埋めた。ここに引っ越してきてからは任務ばかりで、ブライトウィングと触れ合わなかった。 ブライトウィングにはこの任務の他に通常訓練や今回のような緊急出動もあるので、元から一緒にいられる時間は少なかった。 だから、夫婦らしいことはあまり出来ずにいる。二人の休暇を寄せ集めてやっと行けた新婚旅行でさえも、襲撃で頓挫してしまった。 デスポートにやられはしないかと思うと涙が出てきたが、枕に吸い込ませて我慢した。戦士の妻が泣いているわけにはいかない。 辛いのはブライトウィングであり、その仲間達だ。綾子は涙を拭って深呼吸し、目を閉じたが、気持ちは弱っていくばかりだった。 「んー…」 綾子は身を捩り、眠気に意識を集中させようとした。だが、不安で神経が高ぶってしまったため、眠気はさっぱり起きなかった。 その上、変に頭が冴えて落ち着きがなくなってしまい、綾子は何度も寝返りを打ったが三十分以上過ぎても寝付けなかった。 「ちょっとは構ってよ、ブリィ」 ナツメ球の光が広がる天井を見上げ、綾子はまた泣きそうになった。互いの忙しさは知っているから、なかなか甘えられない。 増して、ブライトウィングの任務は地球を守ることだ。彼やその部下達が戦わなければ、地球など呆気なく滅ぼされてしまうだろう。 けれど、寂しいものは寂しい。綾子は切なさを紛らわすように深く息を吐いたが、胸の重苦しさは抜けるどころか痛みすら生じた。 ブライトウィングから最初に好意を示された時には、自分に好意を寄せてくれる異性に対して感じる程度の好意しか感じなかった。 それからトントン拍子に結婚してからもあまり変わらず、オペレーターと異星人の戦士との間にある隔たりを埋めきれずにいた。 もう少し若ければ思い切って甘えたり弱音も吐けたのだろうが、綾子は今年で三十一歳になるので、大人としての立場があった。 それに、戦いで疲れているブライトウィングに余計な負担も掛けたくないと思ってしまい、甘える言葉をついつい飲み込んでいた。 今ほど、それを後悔したことはない。綾子はたった一人で無人の惑星に取り残されたかのような寂しさに襲われ、両腕を抱いた。 今頃、ブライトウィングはどうしているだろうか。綾子は体を横たえて背を丸めたが、夫を思うあまりに体の奥底がじくりと疼いた。 「そんなこと、考えてる場合じゃないでしょ」 と、自戒してみるが、まるで効果はない。綾子は少々後ろめたさを感じたが、気晴らしにと素直に体の欲求に従うことにした。 腕を抱いていた手を解いて、パジャマのズボンに差し込んで股の間に入れた。近頃では、自分でもあまり触っていなかった。 夫には内緒で新調した下着の上から、二つに割れた柔らかな肉の膨らみをなぞる。ほんの少しの刺激なのに、胸が高鳴った。 薄いレース地と浅い茂みに隠れた肉芽を探り、中指で潰した。指先でこね回していると、疼きが増して熱を持つようになった。 それを続けていると、その下の割れ目から潤いが滲んだ。綾子は呼吸を荒くしながら、その潤いを広げるように指を動かした。 生暖かい愛液をねっとりと肉芽に絡み付かせ、陰部に指をそっと入れる。夫のものや指よりも細いが、少しだけなら満たされた。 「んっ…くぅっ!」 小さな絶頂を迎えた後、綾子はちゅぽんと指を抜いた。正直物足りないが、肝心の夫が帰ってこないのであれば仕方ない。 「ブリィが悪いんだから」 余韻に浸りながら綾子が呟くと、襖越しに答えがあった。 「それはすまなかった」 「ひえっ!?」 本気で驚いた綾子が飛び起きると、居間に繋がる襖が開き、人間大の大きさに変化したブライトウィングが立っていた。 「い…いつ、帰ってきたの?」 「三十分前に戦闘は無事終了し、デスポート及びデスロニアンの残党は逃亡した。だから、エスケープの能力を使って地球防衛軍基地に帰還し、最低限の点検と機体洗浄を終えて帰還したのだ。何か、不都合だったか?」 暗い寝室では一際目立つサファイアブルーの目を細め、ブライトウィングは綾子の前に片膝を付けた。 「う、ううん。お帰りなさい」 「ただいま戻った、綾子」 穏やかな笑みで答えるブライトウィングに、綾子は寂しさが緩んで顔を綻ばせた。 「いつもご苦労様」 「綾子や皆を守るためなのだ、あれしきの戦いなど苦ではない」 ブライトウィングは綾子の右手を取ろうとしたが、綾子は慌ててその手を下げた。自分の体液が付いているからだ。 「どうした?」 ブライトウィングに訝られ、綾子は取り繕った。 「なんでもないの、なんでも。今日の戦闘の報告書はこれから仕上げるんでしょ? 私、手伝うから」 一度、手を洗わなければ。綾子が立ち上がろうとすると、ブライトウィングはその腕を掴んで鮮やかに引き倒した。 「やっ」 思い掛けないことに綾子が戸惑うと、綾子の上に覆い被さったブライトウィングは綾子の両腕を冷たい両手で押さえてきた。 「隠すことはない。寂しがらせてすまなかったな、綾子」 「い、いつからいたの? ていうか、やっぱり知っていたの?」 綾子は赤面しながらブライトウィングから目を逸らすと、ブライトウィングは白銀色の整った顔を近寄せてきた。 「私のセンサーを舐めてもらっては困るな」 「じゃあ、知っていても言わないでよ。もっと恥ずかしくなるから」 「なぜだ? 私と君は生涯の伴侶ではないか、隠し立てするような事柄が今更あるものか」 「夫婦だって、プライベートぐらいあるでしょ。だから、もう放っておいてよ。そっとしておいてよ」 「無理を言うな」 ブライトウィングは綾子の右手を取ると、湿り気の残る中指に金属製だが柔らかな舌を這わせた。 「ひ、ぁ…」 恥ずかしさと嬉しさが混在した綾子が悲鳴に似た声を漏らすと、ブライトウィングは綾子の左腕を解放して右手も離した。 「私とて、寂しかったのだ。同じ空間で寝起きを共にしながらも、多次元宇宙超越物質に関する情報収集にばかり時間を割いた。挙げ句に、今日の緊急出動だ。事後処理もせず、報告書も上げずに切り上げることなど、以前の私では考えられないことだった。戦いの最中ですらも、綾子のことばかりが思考回路を駆け巡った。いや、それは今に始まったことではないか。綾子に心を奪われた時から、私の士気を支えるのは他でもない綾子なのだから」 ブライトウィングは高揚を抑えた口調で囁きながら、綾子のパジャマのズボンに手を掛け、ショーツごと一息に脱がした。 「それって、正義の味方として物凄くダメじゃない?」 素肌を曝された綾子が恥じらいながら呟くと、ブライトウィングは綾子の素足の前に屈み、左足を軽く持ち上げた。 「金属細胞の肉体と電子回路の頭脳とプログラム言語による意識を持っていても、私は所詮男に過ぎないのだ」 「うぁ…」 素肌の左足に金属の唇が添えられ、綾子は息を飲んだ。ブライトウィングは左足の親指を含み、唾液の出ない舌を動かした。 それだけで背筋がぞくぞくするほど感じてしまい、潤いの残る体の中心に新たな疼きが起きたが、羞恥心が勝って顔を覆った。 ブライトウィングは足の甲にも唇を当て、次にくるぶし、アキレス腱、と続き、脹ら脛に及び、太股の内側に至り、そしてついに。 だが、肝心な陰部には触れてくれなかった。内心で落胆した綾子が指の間から夫を見やると、ブライトウィングは顔を起こした。 「綾子の口で私を潤してくれ。私も綾子を潤そう、だから上になってくれ」 「うん、解った」 綾子が腰を浮かせると、ブライトウィングは両翼とブースターを動かして背面部の凹凸を減らしてから、仰向けに横たわった。 ブライトウィングの上に跨った綾子は、夫の顔の上に尻を突き出して俯せになった。これで、どれだけ濡れたか知られてしまう。 いつ触れられるかどきどきしながら、綾子は目の前にあるブライトウィングの股間にキスしてやると、その部分の装甲が開いた。 そこから現れたのは、外見と同じく純白で太い円筒の部品だった。人間の生殖器のように反り返りがない分、口に入れやすい。 小さな穴が空いて丸みを帯びた先端を唇で包み、そのままぬるりと口中に導く。金属ではあるが、顔の部分のような弾力がある。 生命体と言えど分泌液のないメタロニアンは、どれほど刺激しても全く濡れないので、綾子は自分の唾液をたっぷり擦り付けた。 滴り落ちた唾液が股間近辺の装甲を濡らし、シーツにも数滴が吸い込まれた。早く陰部に触れてほしくて、綾子は懸命に奉仕した。 それでも、ブライトウィングは触れてこない。ようやく触れてきたと思ったら、丸い尻を掴んで綾子の陰部を横に広げるだけだった。 「それ、嫌だって言ったじゃない」 唇と顎をべっとりと濡らしながら綾子がむくれると、ブライトウィングは妻の肉付きの良い尻の下で笑った。 「私と綾子が繋がり合えるかどうか、確かめているだけだ。君達も、私と部下達の合体に不備がないように点検するではないか」 「それとこれとは違うと思うんだけど」 「何も違わないさ」 ブライトウィングは引き締まった口角を少し上げ、横に押し広げた陰部に吸い付いた。 「ふあっ!」 下唇で肉芽を押さえられ、冷たい舌をねじ込まれ、綾子は仰け反りそうになった。待ち望んでいた刺激が嬉しいが、強すぎる。 ブライトウィングは綾子の太股を掴み、足を閉ざさせようとしない。綾子は引きつった声を殺すため、夫の疑似男性器を頬張った。 そうでもしないと、夜中なのに叫んでしまいそうだった。全力疾走を終えた後のように息を荒げながら、綾子は純白の棒を握った。 意図していない唾液が口の端から零れ落ち、夫の股間だけでなく両足の駆動を行うシリンダーを濡らし、透明な染みが広がった。 執拗に責められた綾子は膝から力が抜け、腰を上げていることが出来なくなり、夫の顔に尻を押し付けると開き直ることにした。 機械そのものだが人間的に整った顔立ちを尻で挟み、腰を捻るようにして夫から与えられる刺激に自分の力による刺激も加えた。 綾子の体温が移ったブライトウィングの顔に擦り付けると、ぐちゅぐちゅと粘ついた異音が溢れ、太股の内側を一筋伝い落ちた。 「やっと素直になってくれたか」 ブライトウィングは綾子の尻を浮かせて離すと、白濁気味の愛液に濡れた顔を手の甲で拭った。 「だって…あんまり焦らすからぁ…」 自分から迫ってしまった恥ずかしさで綾子は顔を伏せると、ブライトウィングは綾子を抱え、膝の上に座らせた。 「ならば、繋がろう」 くちゅ、と生温く濡れた白い先端が赤らんだ陰部を広げ、時間を掛けて押し込まれた。綾子はその手間さえも惜しいほどだった。 自分から体重を掛けようとするが、ブライトウィングの両手に腰を掴まれているので奥まで飲み込めず、もどかしい思いをした。 人間の体重など、メタロニアンの腕力には軽すぎるほどだ。不満と焦りで綾子が夫を睨むと、ブライトウィングは綾子を撫でた。 「それほど私が欲しかったのか?」 「…うん」 躊躇いつつ、綾子は小声で肯定した。乱れた髪を撫で付けるブライトウィングの手付きは優しく、愛情に満ちていた。 「ならば、今度からは私の綾子専用合体ジョイントを分離させて待機させておこう。無論、感覚は無線通信で直結させておく」 「えっ、ちょっと、それは…」 「冗談だ。そこまで求められているのであれば、応えてやりたくなるものではないか」 「べ、別にそこまでしたいってわけじゃないし、今日のアレは、ブリィが心配で寝付くに寝付けなかったからで…うん…」 「不安がらせてすまなかった。だが、私を信じてくれ。それこそが、私に揺らがぬ信念を与えてくれる力となる」 「こういう半端な状態で言うセリフ?」 綾子が半分ほどしか入っていない純白の逸物を見下ろすと、ブライトウィングは綾子の腰を力強く引き寄せた。 「んあぁうっ!?」 ずん、と胎内に重みが訪れ、綾子は充足感で熱い吐息を漏らした。 「はぁあっ…入ってきたぁ…」 「拭いた方が良いか?」 ブライトウィングが顔を拭おうとすると、綾子は両手でブライトウィングの顔を挟んで身を乗り出した。 「平気。だって、自分のだし」 腰をゆっくりと回しながら、綾子はブライトウィングの唇に噛み付いた。夢中でキスをしていると、パジャマのボタンが外された。 ブライトウィングは綾子の上半身も脱がし、裸にすると、硬い腕で抱き寄せた。薄く汗の浮いた肌と滑らかで硬質な肌が重なる。 「ブリィ、ブリィ、ブリィ!」 熱に浮かされたように夫の名を繰り返し、綾子はブライトウィングの上で腰を上下させた。 「ああ、寂しかったぁっ…! そう、これ、これなのぉっ!」 「綾子っ!」 ブライトウィングは綾子を押し倒し、一際強く貫いた。 「ブリィイイイッ!」 体の芯を貫通したかのような快感に胸を反らし、重たい乳房を震わせた綾子は、ブライトウィングの腕に爪を立てた。 「もっと、もっとお願いぃっ、でないと足りないのおっ!」 「これが私の愛だ、全て受け止めてくれ!」 ブライトウィングは綾子の腰を掴んで引き寄せ、更に深く押し込んだ。擦り合わせていくにつれ、純白の棒が熱を帯びていった。 それはブライトウィング自身の熱でもあり、綾子の体温でもあった。ブライトウィングに抱き締められながら、激しく揺さぶられる。 声を抑えることも忘れ、任務すら忘れ、綾子は夫を貪った。メタロニアンにも皮膚感覚はあるので、その肌に何度もキスを降らせた。 ブライトウィングもまた、誇り高き戦士の顔付きではなくなっていた。惚れた女を一心に貪る、どこにでもいる男でしかなくなった。 熱を帯びた冷却水をたっぷり注がれ、気が遠くなるほどの絶頂を終えても、綾子はブライトウィングの疑似男性器を離さなかった。 地球を守る正義の味方への、精一杯の独占欲だった。 腰のだるさと頭の重さで、綾子は目を覚ました。 目尻には涙の跡が残り、口の端には涎の跡があり、股間にはまだ重みがある。綾子は布団の下に手を伸ばし、触れてみた。 後ろから貫かれたまま眠ったため、強張りを失わない夫のものが綾子の陰部をきつく広げていて、乾いた体液が絡み付いていた。 身を捩ると、精液代わりの冷却水が滲み出した。これを抜いてしまえば、激しいセックスの余韻が消えてしまいそうな気がした。 だが、起き上がらなければ一日が始められない。綾子は腰を浮かせて引き抜こうとすると、背後から伸びた手が腰を押し下げた。 「ふぁっ…」 電流に似た快感が陰部から背筋に駆け抜け、綾子は寝起きの気怠い体に似付かわしくない吐息を零した。 「んはぁ…。もう、意地悪しないでよぉ…」 「私を銜え込んで離そうとしなかったのは、綾子の方ではないか」 綾子の腰を押さえ込んでいるブライトウィングは、綾子の頭上から穏やかに声を掛けた。 「ブリィだって、自分から抜こうとしなかったじゃない」 綾子は腰をくねらせ、更なる快感を求めた。 「仕方あるまい」 その要求に優しく応えてやりながら、ブライトウィングは笑った。 「愛しているよ、綾子」 「…うん。私も愛してる」 顔を火照らせた綾子が呟くと、ブライトウィングは綾子の腰を引き寄せた。望んでいたものに、綾子は掠れた嬌声を上げた。 それから二人は、ひとしきり愛を交わした後、ようやく体を離した。気付いた頃には朝は過ぎ、時計の針は昼前を差していた。 そんな状態では仕事になるわけがないので、その日はデータ収集はパソコンに接続している各種センサーに任せることにした。 ブライトウィングも報告書の提出とメンテナンスを受ける予定が入っていたのだが、翌日に投げて、丸一日綾子と愛し合った。 デスロニアンとの戦闘が起きないことを祈りながら、綾子はブライトウィングに思い切り甘え、ブライトウィングもまた同様だった。 いつ、また平和を脅かす戦いが起きるか解らないのだ。だから、綾子も、ブライトウィングも、思う存分互いを満たし合った。 正義の戦士の信念を揺らがせないために。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 人間♂ 和姦 異星人 金属 鎧 !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
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動物 諌村祝詞(陰楼学園Ver) ダンテ 半人 リヴァイア レーノ・アルティーニ ゴーゲン ブリトラ アーバッガ フィヴゥーガウ エリザベス ポチ アルシエル 無機物 ハインケル 黒騎士 その他 もずく ギル ギンジ アズゥ ブランカ ヴェルメーリョ プレト
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491 :名無しって呼んでいいか?[sage]:2009/05/31(日) 00 19 48 ID ??? ここでも何度か出てるけど、攻略対象が人外ばかりの乙女ゲー。 序盤~中盤はほのぼのドタバタ。でも後半はシリアスで悲恋ベース。 いろいろあるけど、険しくて切ない人間と人外の恋愛もいいと思うんだ。 「人間世界での日常生活」と「人外と共に生きる道」は両立しない。 相手が奇跡の力で人間になったりしない。 日常を捨てて人外と行くか、お互いを想いながらも離れるか。 「いつも君を想ってるから」とか「お前の寿命が尽きる頃にまた迎えに来る」とか言って 主人公の目の前で人外が消え去ってもいい。主人公が泣きながら終わってもいい。 想いが強すぎて、人外が主人公を「向こう側」に連れ去ってしまってもいい。 やっぱり住む世界が違うからと人外が去ろうとするのを、主人公が追っかけてもいい。 お互いそれまでの環境を捨てて駆け落ちして人間世界でひっそり暮らして、 何十年後かに年老いた主人公の傍に見た目変わらない人外がいてもいい。 切ないエンド≠バッドエンドと思えるストーリー たまにはそういう、どこかやりきれないEDが色々詰まってるゲームがあっても
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人魚と魔術師見習い 3 859 ◆93FwBoL6s.様 物の見事に、ドラム缶が両断された。 刃物のような切り口は熱して赤らんでいたが、すぐに元の色味に戻って滑らかな断面が現れ、上半分と下半分は永久の別れを告げるように前後に転がった。鮮やかにドラム缶を切ったブライトウィングは、普段は宇宙征服を目論む悪の機械生命体軍団、デスロニアンとの戦闘で酷使しているレーザーブレードを下げた。人間大の大きさに変化している彼は、いくらか不可解げな顔ではあったが、ドラム缶の切断を頼んできた広海に向いた。 「これで良かったのか?」 「充分です。それと、切断面を丸くしてもらえるとありがたいんですけど」 ドラム缶の下半分を転がして立たせてから、広海が切断面を指すと、ブライトウィングはレーザーブレードの出力を調節して刃物のような切断面に撫で付けて丸くしていった。 「了解した」 アパート裏の狭い庭で行われる二人の作業を見守るのは、203号室に住まう正義の戦士、ブライトウィングの妻である織部綾子と、102号室の掃き出し窓から庭を見下ろしているミチルだった。ブライトウィングは一通り作業を終え、レーザーブレードが接していた面から熱が抜けたことを確かめている。広海はドラム缶の中が汚れていないかどうかを調べてから、黒の油性ペンを取り出して魔法陣を書き加えた。ドラム缶の内側に書かれた魔法陣に広海が魔力を込めると、ドラム缶の底から水が沸き上がり、八分目近くまで溜まった。 「やっぱり魔法って便利ねぇ」 綾子が感心すると、広海は少々照れた。 「僕が使えるのは基本的なものだけですけど」 「所用があると言うから何かと思ったが、君は一体何をしようと言うのだ?」 ブライトウィングはレーザーブレードを背面部に収めてから、訝しげに水が溜まったドラム缶を見下ろした。 「ミチルを外に連れ出してやるためには必要なんですが、僕の魔法じゃ作れなくて。ドラム缶を分けて頂いただけでなく、切って頂いて、お手数掛けてすみません」 ドラム缶に魔法陣を新たに書き加えた広海は、それを浮かばせ、数日前に入手した中古の折り畳み式リヤカーに置いた。 「いいのよ、気にしなくて。メタロニアンの隊員達が貴重な化石燃料を湯水の如く飲むもんだから、ドラム缶なんて基地中にごろごろしてるし、デスロニアンの総統のサルドニュクスが最終決戦の末に異次元宇宙に消え去ってからはデスロニアンの動きも大人しいし、地球は割と平和だしで、訓練と国連との定例会議に出席する以外はブリィは至って暇なんだから」 綾子が笑うと、ブライトウィングはやりづらそうに口元を曲げた。 「それはそうかもしれないが…」 「で、どこに行くつもり?」 ミチルが居間に置かれたビニールプールから顔を出すと、広海はリヤカーに乗せたドラム缶を魔法で固定した。 「この近くに川があってさ、桜が咲いているんだ。川の水深も深かったから、ミチルが泳げるんじゃないかって思って」 「あら、いいわね。お花見ね」 綾子はそう言ってから、ブライトウィングを横目に見やった。 「なんだその目は」 ブライトウィングが妻に聞き返すと、綾子は顔を背けた。 「いーえ別に」 「去年のことをまだ根に持っているのか、君は」 「いーえ全然。どうせ地球人は、季節変動による植物の繁殖活動に勝手に感情移入する知能レベルの低い種族だものねぇ」 「あ…あれはだな、情緒的な感覚が今一つ認識出来ていなかったからであって」 「だから、今年はオペレーター仲間とだけでお花見に行ってくるわよ。二度とブリィなんて誘わない」 「頼む、そう怒らないでくれ」 すっかり拗ねた綾子に、ブライトウィングは困り果てている。その姿は地球の平和を守る正義の戦士からは程遠く、広海は変な笑いが浮かんでしまった。微笑ましいと言えば微笑ましいが、綾子の話を聞く限りはブライトウィングに非があるとしか思えない。ブライトウィングはどうしたものかと思考回路を働かせながら綾子の様子を窺っていたが、綾子の前に回ってその両肩を掴み、向き直った。 「では、綾子。私は君に何を与えれば良いのだ」 「そういうのじゃダメ」 「では、一体」 ブライトウィングが迫ると、綾子はにんまりして夫の額部分の装甲を小突いた。 「今年こそ、新婚旅行のやり直しをさせてもらうわよ。敵が大人しい間に、溜まりに溜まった有休使って思い切り遊んでやるんだから! どう、文句ある?」 「いや、全く」 「それでよろしい。あなたの翼で連れて行ってちょうだい」 「無論、ファーストクラスでな」 ブライトウィングは軽口を返してから、あ、と広海とミチルに気付き、綾子は照れ笑いした。 「じゃ、そういうことで。またね、広海君、ミチルちゃん」 「では、さらばだ!」 照れ隠しに敬礼したブライトウィングは、綾子を横抱きにすると急上昇した。そのうちに彼の白い機影が巨大化し、戦闘機に変形すると、暴風と轟音を残して飛び去った。照れるぐらいなら人前でやらなきゃいいのに、と広海は思ったが、口に出すほどのことでもなかったので、リヤカーを引っ張って掃き出し窓の前に移動させた。 お花見、と聞いてミチルは浮かれた。だが、懸命に表情筋を固めて顔には出さず、全力で興味のないふりをしていた。桜といえば、海で暮らしていた頃は遠目に見るだけだった。広海の地元の海岸沿いには生えていなかったし、生えていても高台にあり、遠くにぼんやりとしか見えなかったが綺麗な花だと思っていた。だから、一度近くで見てみたいと思っていた。しかも、広海に連れて行ってもらえるなんて。嬉しすぎて尾ビレが勝手に動いてしまい、ミチルは両手で尾ビレを押さえた。こんなことではしゃいだら、子供っぽいと思われてしまう。 「ミチル」 広海は靴を脱いでビニールシートを敷いた居間に上がると、近付いてきた。 「ちょっとごめん」 袖を捲った広海は濡れることも構わずにミチルを抱えたので、ミチルは驚きすぎて固まった。無論、嬉しいからだ。文句の一つでも言っておかなければ体面が保てない、と考えるが、心臓が暴れて喉が詰まって言葉が出てこない。広海は多少苦労しながらミチルを運び、水を張ったドラム缶の中に入れた。ビニールプールよりも若干冷たく、狭いが、充分エラ呼吸出来るほどの深さがある。意識しすぎて黙り込んだミチルが俯いていると、広海は濡れた腕を拭った。 「やっぱり、魔法で転送した方が良かったかな」 まさか、あの二人が羨ましくなったから、とは死んでも言えまい。広海は居たたまれなくなってしまい、ミチルの横顔から目を逸らした。まともに抱きかかえたのはこれが初めてで、非力な自分で持ち上げられるかどうか不安だったが、ミチルは予想以上に体重が軽かった。人間とは骨格も違えば筋肉量も違うからなのだろうが、華奢で、繊細で、おまけにやたらといい匂いがした。潮の匂いのようでいて、年頃の女性の悩ましい匂いでもあり、忘れがたい感覚だった。広海はぎこちない足取りで自室に戻ると、戸締まりのために掃き出し窓の鍵を閉め、濡れた服を着替えて外出するための身支度をしつつ、平静を取り戻そうと理性を酷使したが、所詮は十八歳なのでそう上手くいくわけもなく、ミチルの目がないのをいいことに盛大に身悶えた。敷きっぱなしだった布団を相手にしばらくもんどり打ってから、広海は何事もなかったかのような態度を作って玄関から出ると、庭に待たせているミチルの乗ったリヤカーの元に戻ってきた。 「ミチル」 「行くならさっさと行けば?」 五右衛門風呂のような状態のミチルがあらぬ方向に目を向けていると、広海はショルダーバッグを探った。 「気に入るかどうかは解らないけど、これ、着ていった方がいいんじゃないかな」 「何を?」 「水着。上だけだけど」 広海が取り出したのは、白地にフリルが付いたタンクトップビキニだった。エラ呼吸への配慮なのか、締め付けの緩いAラインだった。振り向いたミチルが目を丸めると、広海は自信なさげに目を伏せた。もちろん、ミチルは跳ね上がらんばかりに嬉しかった。プレゼントなんて初めてだ。しかもそんなに可愛いものを。だが、素直に喜んでは今までの頑張りが台無しだ。しかし、踏ん張りが効かなくなって頬が緩んできたので、ミチルはどぼんと水中に没して深呼吸して気持ちを落ち着けてから、水から顔を出し、仕方なさそうな顔をして広海の手から水着を引ったくった。 「仕方ないわね」 「良かった、着てくれるんだ」 「このまま外に出たくないだけ」 ミチルは水着を被り、カップの中に乳房を収めてから、長い髪を引っ張り出して整えた。 「じゃ、行こう」 広海は満面の笑みを浮かべると、リヤカーを引っ張った。ミチルが受け取ってくれたことだけでも嬉しかったのだが、水着が似合っていることが尚嬉しい。趣味が悪いだの何だのと罵られたら再起不能に陥るところだが。アパートもえぎのの敷地から出た広海は、桜並木のある川沿いを目指して出発した。事前に施しておいた魔法のおかげで、リヤカーに載せたドラム缶とその水の重量は軽くなっていて、広海の腕力でも容易く牽引出来た。擦れ違った人々からは物珍しげな視線を向けられたが、気にならなかった。ミチルも大して気にしていないらしく、進行方向だけを見ていた。 しばらく歩くと、住宅街の先に柔らかな色彩の固まりが見えてきた。通り掛かる人々の数も増えてきて、彼らは似たような目的で川沿いを目指しているようだった。あまり人の数が多いとミチルが気にするだろう、と判断した広海はちょっと方向を変え、桜並木と花見客が密集している地点から離れるために上流に向かった。桜並木は長々と続いているし、何も人が多い場所でなければ桜が楽しめないわけではない。なので、リヤカーを引っ張る広海は土手の下に添って歩いていったが、陽気がいいのと休日であることも相まって歩けども歩けども花見客が途切れない。今更ながら、都会だなぁと感じ入った。 それから、広海は小一時間歩いた。道に迷わないように土手の下の道を進み、進み、進んだが、人間が途切れた頃には桜並木も途切れてしまった。土手の上までリヤカーを引っ張り上げた広海は、リヤカーのスタンドを立たせてから、その場に座り込んで汗を拭った。魔法で軽くしてあるとはいえ、重量はちゃんとある。それを小一時間も引っ張ってしまうと、ろくに体を鍛えていない広海では疲れて当然だ。道中にあった自動販売機で買った缶ジュースを開け、喉を鳴らして飲み干した広海は、遙か彼方で花見客に囲まれている桜並木を見つめた。 「なんか、ごめん」 「何が」 「あんなに人がいるとは思わなくて」 広海は胡座を掻き、情けなく背を丸めた。ミチルはドラム缶から上半身を乗り出し、桜並木に目を凝らした。 「ていうか、誰もろくに桜なんて見てないじゃない。酒を飲んで騒いでいるだけ」 「まあ、大抵のお花見がそんなもんだから。特に、いい歳した大人は」 「だったら、なんでお花見なんて言うの? ただの宴会なのに」 「僕に理由を聞かれても困るんだけど」 広海は語尾を濁し、苦笑いした。ミチルはあれだけ嬉しかった気持ちが萎み、ドラム缶の中に潜った。せっかく桜を広海と一緒にゆっくり眺められると思っていたのに。なんだか悔しくなったが、こればかりは広海に文句を言ってもどうにかなるものでもないし、文句を付けてはさすがに可哀想なので、ミチルは口とエラから泡を零して眉根を顰めた。広海も落胆していたが、幅広の川を見下ろした。 「桜が近くで見られないのは残念だけど、ちょっと泳いでいったら?」 「そうね」 ミチルは上半身を出し、川面を見下ろした。海に比べれば底も浅ければ水も濁りがちではあったが、泳げないほどの水質ではなさそうだ。それじゃ、と広海は空き缶を上着のポケットに押し込み、立ち上がってリヤカーを再び引っ張った。河川敷に下りる坂を下りて川に近付き、リヤカーが止まると、ミチルは下半身で力強くドラム缶の底を蹴り付けて跳躍し、細身の肢体を宙に躍らせた。美しい弧を描いて川面に飛び込んだミチルはたっぷりと解放感を味わってから、川から顔を出して広海を見上げた。すると、前髪に桜の花びらが一枚付着したので、ミチルは上流に目を向けた。 「あっちにも生えているのかしら、桜」 「行ってみる?」 「泳ぐついでにね」 ミチルはまた水中に身を没し、尾ビレで力一杯水を叩いた。広海はリヤカーを引いてミチルを追い掛けようとしたが、人魚の遊泳速度には到底敵うはずもなく、ミチルの後ろ姿はあっという間に上流に向かっていった。間隔は広がる一方で、途中から広海はミチルに並ぶことを諦めて歩調を緩めた。自由に水中を泳ぎ回るミチルの肢体は、海の宝石と称される種族に相応しい美しさだった。上流へと進んでいくと、桜並木として盛る木々よりも若く細い桜が一本だけ生えていた。水中から顔を出したミチルは、川面へ精一杯枝を伸ばす細い桜を見上げ、遅れてやってきた広海も桜の若木を見つけた。 「植樹されてから、まだそんなに時間が経っていないんだ」 「でも、花は咲くのね」 「そりゃ、桜だからね」 広海はリヤカーを止め、幼さすらある若木越しにミチルを見下ろした。桜に見入るミチルはどこか表情が緩んでいたので、広海まで釣られてしまった。春の空気は柔らかく、明るい日差しに照らされるミチルは薄暗い居間で見るよりも格段に美しかった。もちろん、室内でも美貌に陰りはないのだが、狭苦しいビニールプールや浴槽で縮めている肢体や長い髪が解放されているからか面差しも清々しげだった。それを感じてしまうと、広海はまた罪悪感が湧いてきた。 「ねえ、ミチル」 「何よ」 ミチルが素っ気なく答えると、広海はリヤカーに座って川面を見渡した。 「今度、釣りに行こうか」 「それは海?」 「そう、海。僕が先に電車で移動して、その場にミチルを転送する。それなら君も疲れないだろ?」 「考えておいてあげる」 「うん。僕もよく考えるよ、いつ頃にどこに行けばいいのかとか」 「せいぜい大物を釣ることね」 ミチルは身を翻し、泳ぎ出した。決して深くない川底を目指して潜ると、広海の影は遠のいた。嬉しいことが続きすぎて、目眩がしてしまいそうだ。こうして一緒に出掛けられただけでも顔の緩みが収まらないのに、釣りに出掛けようだなんて、それはれっきとしたデートだ。間違いなくデートだ。ミチルは緩みすぎてだらしない顔を両手で押さえ、その場でぐるぐると意味もなく回転した。予定を返上されないようにあんまりつんけんしないようにしよう、と胸に誓ったが、だけど下手にはしゃいだら頭が軽いって思われるんじゃ、と悩み、ミチルは次第に浮力を失って柔らかな泥が堆積した川底に沈んだ。 悩みに悩んだ末に出した結論は、態度を変えないことだった。 調子に乗りすぎたんだろうか。 花見を兼ねた散歩から帰宅してから、ミチルは急に機嫌が悪くなった。水を入れ替えたビニールプールに戻してからというもの、広海に目もくれず口も利いてくれない。ドラム缶がいけなかったんだろうか、それともリヤカーが気に食わなかったのか、でなければ桜が物足りなかっただろうか、やっぱり水着が悪かったのか、と広海は大いに悩んだが、彼女が機嫌を損ねた理由がさっぱり掴めないまま、夜を迎えた。アビゲイルにばかり頼るのは気が引けるので、自炊するようになった広海は、慣れない手付きで料理をしながらも考え込んだせいで手元が狂い、包丁で指先を切ってしまった。 痛い、と言いかけて飲み込んだ広海は、テレビ台の傍に置いてある箱から絆創膏を出すためにビニールプールの前を横切ろうとしたところ、冷たい手に左手を掴まれた。振り向くと、ミチルが不機嫌極まりない顔で広海を見上げてきた。 「な、何?」 広海が恐る恐る尋ねると、ミチルは広海の切り傷が付いた人差し指を銜えてきた。途端に広海は痛みなど吹き飛び、頭に血が昇った。広海の人差し指を舐める舌は人間のものよりもざらつきが少なく、さらさらとした唾液が指の根本から手のひらに伝い、痛いほど握り締められた手首は棒でもねじ込まれたかのように固まってしまった。広海は何がどうしてこうなったのか全く解らなかったが、間を置いて理解した。そういえば、人魚は肉食だったが、なぜ、こんな唐突に。 ミチルの舌がするりと動き、指全体を舐め上げてきた。人間のそれと変わらない唇の感触は柔らかいが、肌に触れる歯はいずれも尖っている。ミチルが顎に力を入れれば、広海の指など一息で噛み千切られるだろう。だが、恐怖よりも扇情が勝り、広海の脳裏に卑猥な想像が駆け巡った。相手が好きな女性では、考えるなという方が無理な話だ。 広海の血と肌の味を味わいながら、ミチルは心底後悔し、そして心底高揚していた。不機嫌な態度を作って誤魔化していたが、広海に近付かれたら我慢出来なくなった。抱きかかえられた時に感じたのと同じ体温を舌と口で吸い取りながら、ミチルはエラから吸った水を緩く吐き出した。表情を見られまいと床を見つめるが、どこまで堪えられるものだろうか。 自由の利く親指を曲げた広海は、ミチルの唇の端に触れた。すると、水面が僅かに波打ち、ミチルが身動いだのが解った。呼吸が速まったことを悟られまいと息を詰めながら、広海はミチルの唇をなぞった。残りの三本の指も曲げて顎を包んでから、人間とは機能が異なる喉を撫でた。どこもかしこも柔らかい。なぜか、ミチルが抗う様子はなかった。試しに喉から顎にかけて撫で上げても、ミチルは動かない。それを知った途端、広海の内で何かが弾けた。 「んっ」 いきなり指を引き抜かれてミチルが小さく声を漏らすと、肩を押さえられ、頭上が陰った。重たい水飛沫が上がると、広海の体が上に乗っていた。広海の足によってビニールプールが歪み、二人分の体積によって水が溢れ出していた。 川の水の味がした。ミチルの唇を塞ぎながら、広海は彼女の肩から背に手を移動させた。体の下ではミチルが硬直したままで、尾ビレの先さえも動いていない。冷たい水を吸った服が重たく、メガネは水滴に濡れて見通しが利かなくなったが、体は隅々まで熱かった。帰宅してからも脱いでいなかった水着の上から乳房を胸で押し潰すと、彼女は苦しげに喘いだ。 その喘ぎが止まると、広海の首筋に痛みが走った。首筋の肌を切り裂いた爪が頬に及び、肉に食い込んできたので、広海はミチルを離して身を起こした。後頭部に回されていたミチルの手が外れて水中に落ちると、左手の爪に染み込んだ鮮血が水に溶けて薄らいだ。火に掛けたままだった鍋が吹きこぼれかけているのか、蓋が暴れていた。 「…ごめん」 その他に言うことがあるだろうか。広海は袖や裾から水を絞ってビニールプールから出ると、濡れた服を着替えようと滴を落としながら寝室に入った。首筋に刻まれた爪痕は新しいが、肌を裂かれた感触は覚えていない。ミチルを貪るのに夢中になっていたからだ。甘えられたわけでもなければ、好意を示されたわけでもなく、ただ血を舐められただけなのに、あんなことをしてしまうとは。傍にいるだけで充分ではなかったのか。片思いで満足しているのではなかったのか。 変化がないのは、それだけ安定した関係の証拠だと考えていた。ミチルにきつい態度を取られるのには慣れているし、嫌われていると思っているし、無理に好かれようとは思わない。心のどこかに、微妙な均衡を保てる自信を持っていた。だが、そんなのは夢にも劣る幻想だったらしい。広海は見た目こそ男臭くないが、やはり男なのだ。だから、彼女から触れられたら抑えが効かなくなった。陸にいるのをいいことに、いつか組み伏せてしまうかもしれない。人間を受け入れるための機能が充分ではない彼女を力任せに貫いてしまうかもしれない。そうなる前に、主従関係は解除しなければ。 これ以上、傷付けないために。 この爪が、この手が、この体が憎らしい。 そんなつもりじゃなかった。傷付けるつもりなんてなかった。同じことを返そうとしただけなのに、この手に生える爪が勝手に彼の肌を裂いてしまった。貝や甲殻類を容易く切り裂けるほどの硬度を持った人魚の爪には、人間の肌など紙よりも薄い。取り返しの付かないことをした。もう嫌だ。何もかもが嫌だ。 淡水よりもいくらか塩辛い涙が水に溶け、歪めた口の隙間から入り込み、懐かしい潮の味を舌に広げた。だが、今はそれすらも疎ましい。ミチルは少しだけ水深が浅くなったビニールプールで身を丸め、声を殺して泣いていた。左手の爪の中にこびり付いた広海の血は、どれだけ擦ろうとも取れなかった。謝りたいが、どうやって謝ればいいのだろう。広海はいい加減な夕食を摂ったきり、寝室から出てこないし、あまり物音も聞こえない。勉強しているのだろうが、それにしても静かすぎる。本気で怒らせてしまったに違いない。 「もう、どうしたらいいの…?」 好きだと言えたら。愛していると叫べたら。だが、その瞬間に泡となる。泡にならずに生き延びられる方法を探したいが、陸上歩行出来ないのでは行動すら不可能だ。ビニールプールに身を収め、広海の牽くリヤカーで運ばれるのが精一杯だ。このままでは、きっと彼を不幸にする。強引すぎる方法で傍に来たはいいが、そこから先のことを何も考えていなかった。 アビゲイルが、ブライトウィングが、他の面々が羨ましすぎて妬ましい。彼らも人ではないのに、自由に思い人と愛し合っている。嫉妬で頭がおかしくなりそうだ。ミチルは嵐の海よりも激しく荒れ狂う感情を抑えるために歯を食い縛り、目を閉じた。 それでも尚、涙は溢れた。 → タグ … !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
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先導する剣 スケルター UC 火 (2) クリーチャー:ヒューマノイド/真炎組 1000 ■自分の真炎組の召喚コストを1少なくする。ただし、コストは0にならない。 作者:翠猫 DMAE-09「ドラゴンズ・リベンジ」収録のヒューマノイドの真炎組。 それぞれの派閥のクリーチャーのコストを1下げてくれるサイクルの1枚。 収録エキスパンション DMAE-09「ドラゴンズ・リベンジ」 関連 《彗星の使徒 アストロード》 《アクア・チップ》 《魔刃進行 ファーネ》 《先導する剣 スケルター》 《桜花の朧月》 評価 名前 コメント